小説クリエイトコーストピックス

【TOPICS】ニチマ夏の特別授業レポート

2016年夏に行われた小説クリエイトコースとマンガコース対象の特別授業『エンタメ創作講座』。
本学院で教鞭をとる西谷先生、榎本先生、成校長により、創作に関わる様々なお話が交わされました。
ここではその座談会の一部を抜粋してご紹介いたします。

座談会講師紹介

西谷 史

西谷 史

Nishitani Aya
1986年『女神転生』で小説家デビュー。同作品はOVA化やゲーム化などでヒット作品となる。その他、『神々の血脈』『東京SHADOW』『タイムダイブ1986』『真・女神転生 エル・セイラム』など、多くの著作がある。近年『すごいライトノベルが書ける本』など、指導書に関しての著作・共著なども手掛ける。作家育成コーチとして教鞭をとる機会も多い。
榎本 秋

榎本 秋

Enomoto Aki
著述業、編集者、講師、出版プロデューサー。ライトノベル関連本30冊以上をはじめとして多数の編著作を持つ一方で、ライトノベルの編集にも関わる。さらに近年は福原俊彦名義で『裏門切手番頭』『書物奉行』など時代小説の執筆を行っている。作家育成にも熱心で、日本マンガ芸術学院小説クリエイトコースのカリキュラム作成も担当。
成 光雄

成 光雄

Sei Mitsuo
専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院校長。デザイン事務所勤務を経てアートディレクター、各校講師などを歴任。CG、3DCGによるイラストや工業デザイン、CG関連記事の執筆多数。著書には『Shadeの達人』など。文部科学省アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム事業マンガ職域プロジェクト・マンガ分科会委員。

座談会(抜粋)

榎本 秋(榎本事務所)著書

時代はソフトウェア


西谷:若い人がエンターテイメントの道に進もうとしたとき、東海地方では東京よりも親から反対される人が多いと思います。
 なぜなら、静岡県から大阪までの地域は、日本のさまざまなメーカーの大工場が集中しているところで、親御さんの中にはそういう会社でずっと働いていらっしゃった方が多いのです。そしてそういう親御さんにとって、エンターテイメントで身を立てるというのは、非常にあぶなっかしく見えてしまうんです。
 ただ、客観的に見るとそれは必ずしも正しいとはいえない。というのも、現代はハードウェアの時代ではなく、ソフトウェアの時代だからです。
 トヨタは別格としても、ソニーは愛知県出身の人たちによって創業され、任天堂やシャープはこの地域に本社や生産拠点があります。そして30年前、任天堂がファミコンを作った頃——シャープは液晶に、任天堂はゲームに、ソニーは映画とゲームに、それぞれ特化していきました。当時、ソフトウェアに注力したソニーは、新聞や雑誌でハードウェアに回帰すべしとさんざん叩かれていました。
 しかしいま企業の株価を見ると、ソフトウェアを扱っているメーカーは好調ですが、ハードウェアに特化したメーカーは苦闘しています。
 今みなさんがやろうとしていることはソフトウェアを作ることですから、「これからは、私たちが作るソフトウェアで世の中を潤していくんだ」という風に言えば、ご両親にもわかっていただけるかもしれません。そのかわり、みなさんは世の中が求めるものを作る努力をしなければなりません。

ブームより才能

榎本:私は基本的に、ブームとかトレンドとかは重視しませんね。私はブームのことより、その人の才能を売ってあげたい。たまたま流行ったものをまねても、教わった人が作家になった頃にはそれはもう終わってますからね。
西谷:その場合、才能とはなにか、ですね。例えば人と違うことを考えることのできる人は、非常に有利です。そういう人は、ただ表現技術を学ぶだけで世の中に出やすいでしょう。一方、表現する才能はあるが、考え方がきわめてオーソドックスな人は、人と異なる発想を学ぶ必要があるでしょう。

とにかくアイデアを口にする

榎本:これまでに、私が成先生にアイデアをいただいて本を作る、ということが何度かあって、たとえば『本当におもしろいマンガを描くためのプロットネームの作りかた』みたいに、毎年重版がかかっている本もあるんですよ。こういうのって、どこでアイデアを思いつくんですか?
成:やっぱり必要があって、ですね。「学校には必要なのに世の中に出ていない本ってないのか」と考えた時に、我々だから気づくことがあるんですね。
 それが実際売れるか売れないかはさておき、とりあえず言ってみる。そうするとたくさんダメになったアイデアの中に、ふと生まれてくるものがあるかもしれないですから。
榎本:去年出た『本当におもしろいスマホコミックの描き方』なんかは、たぶん韓国でも翻訳されます。これも成先生のアイデアですよ。「スマホマンガの本を出したら」って。
成:はい、そうです。スマホなどで読む電子書籍のマンガって、代表的には二つの種類があります。ページをめくっていくものと縦スクロールのものですね。それで、ページをめくるマンガは従来のマンガの考え方が使えるんですが、縦スクロールのマンガは明らかに違うんです。リズムも構造も、見せかたも作りかたも、ストーリーも変わっていかなきゃいけない。じゃあどう作ればいいのか、そういう本があまり見当たらないから、「どうですか」とお話ししました。
榎本:こんな感じで他にもたくさん助言をいただいて、『ライトノベルのイラストレーターになる!』や『本当に魅力的なイラストを描くための構図の作りかた』といった本を作らせていただきました。そのなかで本自体も一緒に作らせてもらうので、私自身すごく勉強になるんですよ。ずっと学校で教えられて、先生自身もクリエイターだったので、目線も分かりやすいんですね。

土曜セミナーレポート